アルファ(α)
ポーカーの戦略理論において「アルファ(α)」とは、特定のベットサイズにおけるブラフとバリューベットの境界線を意味します。簡単に言うと、「この手はバリューとしてベットすべき?それともブラフにする?それとも諦める?」という判断を、感覚ではなく数字で整理するための考え方です。
例えば、あなたがリバーでベットを検討しているとします。強いハンド(バリュー)が20%、ブラフに使いたいハンドが30%あるとして、相手のベットに対してGTO的に許容されるブラフ率が40%だった場合、ブラフにできるのは全体のうちのある一定ラインまでです。その「ライン」を決める役割を担うのがアルファです。
アルファが意味するもの
アルファとは、「最も強いブラフ」のことです。言い換えれば、「ギリギリでショーダウンには回せないが、ブラフとしてなら機能する可能性のあるハンド」です。このアルファを境に、それよりも強いハンドはチェック、または諦め、それより弱いハンドをブラフに回す、といった戦略的な整理が可能になります。
攻めの基準としてのアルファ
MDF(最小防御頻度)がディフェンス=“守り”の理論であるのに対し、アルファは“攻め”の理論です。ベットサイズに応じて適切なブラフ率を保ち、過剰なブラフやバリューの偏りを防ぐことで、相手に読みづらいレンジを構築できます。ブラフの頻度を最適化するための設計図とも言えるこの概念は、GTOを理解する上で欠かせない要素の一つです。
ベットサイズと許容されるブラフ率の目安
アルファの考え方を理解するには、まずベットサイズごとに許されるブラフ比率(バリューベットに対するブラフの割合)を知ることが重要です。以下の表は、代表的なベットサイズに対するGTO理論上のブラフ比率の目安です。
ベットサイズ(ポット比) | 必要勝率 | 許容されるブラフ比率 |
---|---|---|
1/4ポット | 20% | 25% |
1/2ポット | 25% | 50% |
ポット | 33% | 100% |
2倍ポット | 40% | 200% |
例えば、1/2ポットのベットをする場合、理論上はバリューベット1つに対してブラフを1つ入れてもGTO的には成立します。アルファの概念では、「ショーダウンにはやや届かないが、ブラフとして最適な強さのハンド」を選んでいくことで、このバランスが実現されます。