MDFとは?
MDFとは「Minimum Defense Frequency(ミニマム・ディフェンス・フリークエンシー)」の略で、ポーカー戦略における非常に重要な考え方です。これは、相手のベットに対して搾取されないように、最低限ディフェンスすべき頻度を数値化したものです。
MDFはなぜ必要なのか?
ポーカーでは常に読み合いと確率が交錯します。相手がベットしてきたときにこちらが頻繁にフォールドしていると、それを見抜いた相手にブラフでどんどん攻められてしまいます。
MDFを意識することで、ブラフへの過剰な弱さを防ぎ、レンジ全体のバランスを保つことができます。特にリバーでは、フォールド=100%損失になるので「どこまで守ればいいか」の判断が非常に重要です。MDFはその“防衛ライン”になります。
計算式と具体例
MDFの計算式はとてもシンプルです:
MDF = ポットサイズ ÷(ポットサイズ + 相手のベット額)
たとえばポットが10,000点で、相手が5,000点をベットしてきたとき:
MDF = 10,000 ÷ (10,000 + 5,000) = 約66.7%
このとき、あなたはレンジ全体のうち66.7%以上はディフェンス(コールまたはレイズ)する必要があるということです。
ポットオッズとどう違う?
混同しやすいですが、MDFとポットオッズはまったく別の目的で使います。
- ポットオッズ: 手札単体の「コール判断」に使う
- MDF: レンジ全体の「どれくらい守るか」に使う
MDFの活用場面と注意点
MDFが最も役立つのは、やはりリバーでの判断です。リバーではもう引き目がなく、フォールドすれば相手に利益が渡るだけなので、どこまで守るかの比率管理が大切になります。
ただし、MDFはGTO前提の理論値なので、相手が極端にブラフ寄り/バリュー寄りな場合は柔軟に調整すべきです。また、フロップ・ターンでは「将来的に降りる前提」でディフェンスする選択もあるため、MDFだけで判断するのは危険です。
MDF早見表(ベットサイズ別)
ベットサイズ | 必要MDF |
---|---|
1/4ポット | 約80% |
1/2ポット | 約66% |
ポットベット | 約50% |
1.5xポット | 約40% |
まとめ:MDFを感覚から数字へ
MDFは、どこまで守れば相手に搾取されないかという「防衛ラインの指標」です。完全な正解ではなくても、これを知っているかどうかでプレイの精度は大きく変わります。
「相手のベット、1/2ポットだから、66%以上は守らないと損だな」
「このレンジ構成なら、下位レンジはここで降ろしていいかも」
こんな思考ができるようになれば、感覚に頼ったプレイから卒業し、戦略的な一歩を踏み出せるはずです。