【初心者向け】GTOとは?基本をわかりやすく解説

GTOとは

ポーカーが好きでよくプレイすることがある方は一度は、聞いたことがあるのではないでしょうか。またGTOなんて言葉聞いたことないという方でも「GTOとは何か?」を理解できるような内容の記事になっています。

GTOとは、ゲーム理論に基づく数学的に最適化されたポーカー戦略のことです。

では、その「ゲーム理論」とは何でしょうか?

ゲーム理論とは、複数のプレイヤーが互いに影響し合う状況で、「相手がどう動くかを考慮しながら、自分がどう動けば一番得をするか」を数学的に分析する学問です。

これはポーカーにも当てはまります。

そして、このゲーム理論をポーカーに応用し、導き出された「理論上、相手がどんな戦略を取ってきたとしても、長期的には搾取されることのない最適な戦略」がGTO(Game Theory Optimal)と呼ばれています。

まず理解いただきたいのは、長期的に搾取されないというポイントです。ここでいう「搾取されない」とは、potを落とさない。その日のsessionで、マイナスにならないということではありません。

「搾取されない」とは、つまり「相手からエクスプロイトされない」ということです。

エクスプロイトとは、搾取をそのまま英語訳にしただけですが、エクスプロイトされないと言い換えた方がポーカーをよくプレイする方にはピンとくるかもしれません。

エクスプロイト

GTOと対になる概念が、エクスプロイトです。これも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ポーカーでよく使われるエクスプロイトですが、これもゲーム理論の分野であり、正式名は、最適応答(Best Response)といいます。

最適応答とは、相手の戦略が固定されていると仮定した上で、それに対し自分の利益が最大になるような戦略のことです。

GTOとの違いは、自身のバランスを一切考えない点にあります。相手の弱点を突くという一点に特化した、activeな戦略です。

身近な例:じゃんけん 一番わかりやすい例が「じゃんけん」です。
じゃんけんの例は多くのポーカー記事でほぼ必ず用いられている例なので、本当は何か別の例を上げたい気持ちもあったのですが、結局これが一番わかりやすいため使います。。振り返りで読んでいる方などは、流し読みでも構いません。

じゃんけんで見る最適応答

もし相手の戦略が「必ずグーしか出さない」と完全に分かっているなら、あなたの最適応答は一つです。

それは「必ずパーを出す」ことです。

これが、相手の「グー100%」という戦略に対する、あなたの最適応答です。「相手がチョキを出してくるかもしれないから、こちらも少しはグーを混ぜておこう」などと考える必要は一切ありません。

ナッシュ均衡

そして、GTOの根幹を成しているのが、「ナッシュ均衡」 という考え方です。

ナッシュ均衡とは、これもゲーム理論の内容で「全てのプレイヤーが、お互いに最適な戦略を取り合っている状態」のことです。この状態に一度到達すると、どのプレイヤーも自分だけ戦略を変えると損をしてしまうため、誰も戦略を変えようとしなくなります。GTOは、この均衡状態において各プレイヤーが取るべき戦略のことであり、GTOのことを均衡と表現されることもしばしばあります。

GTO Wizard

ここでも、じゃんけんを例にします。

もし、あなたが「自分はグーしか出さない」という戦略を取ったとします。相手はそれに気づき、「パーしか出さない」という最適応答を取ったとします。相手に搾取され続けるので、次は戦略を変更せざるを得ません。よってこれはナッシュ均衡ではありません。
次に、あなたは、「パーしか出さない」相手の戦略へのカウンターとして「チョキしか出さない」戦略に変更しました。
すると当然相手はこちらに搾取されるので、戦略を変更するまで負けがこむことになります。

ここまで読んでくれた方なら、今度は相手は「パーしか出さない」戦略から、「グーしか出さない」戦略に変更したら勝てるようになるのですが、これはナッシュ均衡とは呼べないという事が分かるのではないでしょうか。

では、どうすればナッシュ均衡に達するでしょうか?

それは、お互いが「グー、チョキ、パーをそれぞれ1/3の確率でランダムに出す」という戦略を取った時です。

この状態では、相手がどんな手を出してきてもあなたの期待値は0であり、それは相手も同じです。もしあなたが「次はパーを出す確率を少し上げよう」と自分だけ戦略を変えても、相手の戦略(1/3でランダム)に対してあなたの利益は増えません。

お互いが「1/3でランダムに出す」戦略を取っている限り、どちらもそれ以上得をするために戦略を変える動機がないのです。この状態が、じゃんけんにおけるナッシュ均衡です。

実のところ、GTOの説明としてはこれが全てです。

相手からエクスプロイトされない戦略
この一点を達成するために導き出された戦略こそがGTOです。

単純で簡単であるかような表現をしましたが、これがまたとても奥深く、複雑です。

そして現代ポーカーでは、相手の弱点を突く戦略、自分のその場の直感を信じた大胆かつ攻撃的な戦略、Showした時にちょっとカッコよく見えそうを追求する戦略などなど プレイヤーの色が出るような様々な戦略の展開が可能な魅力的なゲームですが。こと「最適な戦略」を追求するのであれば、GTO戦略が1強であり、その戦略が非常に世界中のプロたちからも重宝されています。筆者は特にプロではありませんが。

なぜGTOを目指すのか?

ここまでの説明で、こう思った方もいるかもしれません。

「相手より自分の方が格上だと思うならGTOなんて気にせず、エクスプロイトする方が得ではないのか?」

結論から言うと、その通りです。例えばもし相手が、あまりにもこちらのbetに対しタフコールなプレイヤーだと分かっているなら、こちらはブラフによるEVを得られないので、バリューを厚くすることが正解になってきます。

では、GTOを学ぶ意義はなんでしょうか?それには、エクスプロイト戦略が抱える大きな難しさとリスクがあるからです。

・相手を正確に分析するのは、極めて難しい
エクスプロイトが成り立つ前提として「相手のミスを正確に見抜けている」ことです。それは簡単な事でしょうか?

相手がたまたま良いハンドが続いてコールが増えていただけかもしれません。

あなたが「相手は降りすぎる」と決めつけた相手はたまたま降りないといけないハンドが続いていただけかもしれません。

相手もポーカーを学習しており、あなたの知らないうちにプレイスタイルが変化しているかもしれません。

自分の思い込みや少ない情報だけで相手を決めつけると、間違ったエクスプロイト戦略を実行してしまい、GTOをプレイしている時よりも大きな損失を出す危険があります。

・逆にカウンターされる
もしあなたが上手なプレイヤーを相手にエクスプロイトを仕掛けたとします。相手はあなたの「偏った戦略(エクスプロイト)」に気が付きカウンター・エクスプロイトを仕掛けて来るかもしれません。

例えば、あなたが「相手はCBに降りすぎる」と想定し、ブラフの頻度を上げたとします。相手はそれに気づいた途端、あなたのCBに対してfoldを減らして抵抗してくるかもしれません。

エクスプロイト戦略は、相手の弱点を突く諸刃の剣です。自身のウィンレートを大きく上げる強力な戦略ですが、間違えると損をします。
※なのでエクスプロイトをしない方がいいという内容ではありません。

ポーカーにおけるミスとは

少しおまけ的な内容になりますが、ポーカーにおけるミスプレイとは何かについて考えてみましょう。

ポーカーにおける「ミス」の定義。それは「ある状況において、最も期待値が高いプレイをしなかったこと」です。

そして、この「ミス」は、2つの種類に大別できると考えます。

1.GTOからの逸脱によるミス(リーク)
これは、ポーカーを学び始めたプレイヤーが、まず最初に減らすべき基本的なミスです。
具体的には、GTOから逸脱した結果、期待値を失ってしまうプレイを指します。

相手がGTO戦略だった場合、このミスは相手にエクスプロイトされてしまいます。プレイする度に相手に対して期待値をはき出しているイメージです。

2.利益の最大化を逃すミス(機会損失)

こちらが、より高いレベルで要求される概念です。 GTOを忠実に実行し、あなた自身のプレイに一切のリークがなかったとします。あなたは理論上、誰にもエクスプロイトされません。

しかし、もし目の前の相手に明確なリークがあった場合はどうでしょうか?

相手に弱点があるにも関わらず、それを突くためのエクスプロイトを実行せず、ただGTOをプレイし続けること。これもまた、「得られるはずだった利益を取り逃がしている」という意味で、一種の「ミス」なのです。

GTOをプレイすることは、期待値を失わない±0のラインを保証してくれます。しかし、相手にリークがある状況では、エクスプロイトを実行することでより大きな利益を得られるチャンスが存在します。そのチャンスを逃し、±0のプレイに甘んじることは、見方を変えるとそれもまた「最善策ではなかった」という意味での「ミス」となるのです。

ポーカーの強いプレイヤーとは、自身のリークを少しでもゼロに近づけながら、この「機会損失」のミスを極力犯すことなく、相手のリークを的確に突き続けていけるプレイヤーであると筆者は考えます。

まとめ

この記事では、GTOの基本概念から実践的な意義まで解説してきました。

GTOとは「相手からエクスプロイトされない戦略」です。ゲーム理論におけるナッシュ均衡の考え方に基づき、どんな相手と対戦しても長期的に搾取されることのない理論上最適な戦略となります。

エクスプロイトとの関係では、GTOが防御的な最適戦略である一方、エクスプロイトは相手の弱点を突く攻撃的な戦略です。理想的には両方を使い分けることが重要ですが、相手を正確に分析する難しさやカウンター攻撃のリスクから、GTOが安全で確実な選択肢となります。

学習の意義として、GTOは単なる理論知識ではなく、実践的な価値があります。自身のリークを減らし、相手に搾取されないベースラインを構築した上で、機会があればエクスプロイトを仕掛ける。この両輪が揃ったプレイヤーこそが、真に強いポーカープレイヤーと言えるでしょう。

ポーカーは奥深いゲームです。GTOという理論的な土台を理解することで、より戦略的で楽しいポーカーライフを送れることを願っています。


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